「熱中症対策飲料の濃度と入浴による発汗が官能特性に及ぼす影響」に関する、東京大学の先生方との共著論文が日本家政学会誌に掲載されました。
本研究は、飲料濃度と入浴による発汗が、味の感じ方や嗜好へ及ぼす影響について評価解析を行ったものであり、生理変化による飲料の嗜好性を客観的に明らかにする方法として有用であると考えられます。
弊社は「おいしさを科学する」取り組みを通じ、味の客観的な評価とおいしさづくりに貢献して参ります。
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・論文タイトル:
熱中症対策飲料の濃度と入浴による発汗が官能特性に及ぼす影響
・著者:
樺澤 貴宏1, 上田 玲子2, 阿部 啓子2, 浦野 孝太郎1, 明道 聖子1
・所属:
1株式会社タケショー, 2東京大学大学院農学生命科学研究科
・要旨:
熱中症対策飲料の嗜好性と消費者の生理状態の関連性を明確にするために多変量解析を行った.「イオンぷらす」((株)タケショー製;粉末)の3濃度の試料Na57,Na48,Na41を入浴(湯温40℃,15分間)前後に品質特性5項目(採点法)と印象10項目(Semantic Differential 法)について社内パネル21名が評価した.入浴後に「酸味」がNa48とNa57で有意(α<0.01,α<0.05)に,「塩味」と「おいしさ」がNa41で有意(α<0.05)に増加した(Wilcoxonの順位和検定).品質特性と印象を統合して因子分析を適用した結果,「すっきり感」「飲みやすさ」「酸・塩味」「果汁感」と命名した4つの因子(累積寄与率59.8%)が抽出された.これらの因子得点は,入浴の前後と試料の濃度に応じて変化し,因子軸座標上で可視化できた.入浴前後別の因子分析から,入浴後は特に印象の嗜好要因で試料を知覚していることが示唆された.発汗についての本研究は,生理変化による飲料の嗜好性を客観的に明らかにする方法として有用である.
・掲載誌:
日本家政学会誌 第74巻 第11号p. 617-626